現在放送中の朝ドラ「らんまん」では、主人公の万太郎が言う「この世の中に雑草という草はない」という言葉が話題になっています。人間世界とも共通する意味深い言葉で、「すべての植物、すべての人間には生まれてきた意味、存在する価値があるのだ」ということなんだと思います。
先日、同じNHKつながりで「チコちゃんに叱られる!」では「雑草ってなに?」という質問がありました。それによると雑草とは「望まれていないところに生えているすべての草」なんだそうです。
私もよく「植えた覚えないのに勝手に生えてくるのは雑草でしょ!」と言いつつ、どの草を抜くか、抜かないかを見極めたりしています。
でもある人が雑草だと思っていても、別の人はかわいがっていたりするので、時に抜くのをためらうこともあります。
「ヒメツルソバ」という植物は「ポリゴナム」という名前で園芸店でも売られていますが、とても繁殖力が強く、人によっては雑草として抜いてしまうことも。うちにも植えたつもりがないのに近所からタネが飛んできて、いつのまにか根付いて広がっていました。でもピンクや白の金平糖のように愛らしい花や、鮮やかな緑や赤紫色の葉がコンクリートの縁を彩ってくれるのでそのままにしています。この場合、植えたつもりはなくても雑草ではないのです。人間の身勝手なところですね…。
ところで私たちが買ってきて植えつけたり、採集して利用するハーブですが、実はこれらの中にも雑草と呼ばれるものが多くあります。
ヨーロッパでは、ネトルなどはそこらへんの道端にもたくさん生えているものだそうです。日本でも土手にたくさん生えていてただの雑草と思っていた植物が、「和のハーブ」と呼ばれていたりします。
例えばスイバ。スカンポとも呼ばれるこの植物は、田んぼのあぜ道などに生えていて特段注目もされていませんが、海外ではソレルと呼ばれてハーブの一種とされています。スイバ(酸い葉)の名の通り、食べると葉には酸味があります。
またセイヨウタンポポは、日本中ほぼどこにでも咲いていますが、これもダンデリオンというハーブで、葉っぱや根っこをお茶にします。ツクシと同じ地下茎でつながっているスギナも、ハーブ界ではホーステールという名前で知られ、お茶として飲まれています。
ほかにもハコベやヒガンバナなど、身近な田んぼや土手にはお茶や薬、食用として利用されているハーブがたくさんあります。ハーブと言えば香草、薬草と思われている方も多いと思いますが、それだけではなく広い意味では「人間の生活に役立つ植物全般」がハーブとされています。
雑草の定義が「望まれていないところに生えているすべての草」なのに対し、ハーブは「人の生活に役立つ植物」。
同じ植物でも人間に喜ばれるか嫌われるかで扱いが変わってしまうのですから、植物からしたら理不尽な話ですよね。朝ドラのモデル牧野富太郎博士のように、すべての植物を愛せるようになれば、毎日の生活がもっと豊かになるのかもしれませんね。