「茶香炉」でお茶屋さんの香りを再現
「茶香炉」をご存じでしょうか?
1990年代に愛知県の陶器メーカーさんがアロマポットを参考に考案された芳香器です。お茶そのものを焚いて香りを楽しむ、という方法に日本らしい風情が感じられ、歴史は新しいけど今、静かなブームになっています。
茶葉を置く皿と火を焚く容器の上下に分かれていて、下の容器に小さいロウソクを置いて火をともすと、その熱でお皿の上に置いた茶葉があたたまり、芳香が立ち上ってきます。よくお茶屋さんのそばを通ると緑茶の青々とした香りがあたりいっぱいに広がって、なんとも言えない幸せな気持ちになることがありますね。茶香炉で焚いた香りはお茶屋さんよりもかなり控えめですが、そんな癒しの空間を再現してくれるのです。
緑茶には気持ちを落ち着かせる青葉アルコールや、ラベンダーに含まれるリナロール、バラの代表的な香り成分のゲラニオールなどが含まれています。また日本人は子どものころから緑茶になじんでいるためでしょうか、その香りをかぐと精神的な安定感が得られるように感じます。
音のない静かな場所で茶香炉を焚き目を軽く閉じると、おのずと心が落ち着いていくのがわかります。座禅やヨガなどと組み合わせた使い方もいいかもしれませんね。「ザ☆日本茶!」という香りなので、海外にいる人にプレゼントしても喜ばれるでしょう。
茶香炉で使う緑茶は普段飲んでいるお茶でもいいのですが、「かりがね」に代表される茎茶がよいそうです。葉が多いと火を焚いているうちに焦げてしまう恐れがあることと、茎の方が香りはより強いのだそう。それでももし茶葉が焦げてしまうなら、アルミホイルをお皿の上に敷いたり、ロウソクの芯を短くして炎を小さくしてみてください。また時々お皿の上の茶葉をかき混ぜると焦げにくくなります。
茶香炉でハーブの香りも楽しめる
緑茶以外でも茶香炉を楽しめないだろうか、と思っていたら、コーヒーや紅茶、ハーブでもOKなのだそうです。
茶香炉でハーブを焚くなら、香りが強めのハーブがいいでしょう。バラやカモマイルなどの「お花のハーブ」もいいですし、ローズマリーの葉もいい香り。ドライハーブを何種類か混ぜてポプリのようにしたり、香りが足りなければエッセンシャルオイルを1,2滴垂らしてもいいかもしれません。エッセンシャルオイルをアロマポットで焚くような感覚ですが、エッセンシャルオイルの香りはちょっと強くて苦手、という人にはドライハーブだけがほのかに香る茶香炉がおすすめです。
茶香炉にはロウソクの火で温めるタイプと電気式のタイプがあります。
ロウソクを使った場合、もし茶香炉がひっくり返ったら火事になる危険性もありますが、電気式はそれに比べると温度調節が出来るタイプもあり安全なので、小さい子どもさんやペットがいるおうちにはいいですね。ロウソクタイプをお使いの際は、その場を離れたり、寝る時などは必ず火を消してください。
でもロウソクタイプは炎がゆれ動く様子をずっと眺めているのも落ち着くし、茶香炉の種類が大変多いので、きっとお気に入りのデザインに出会えそう。素材は伝統的な陶器製のほか、磁器と木製を組み合わせたものやガラス製のものなど、モダンでオシャレなデザインもあります。
おうちで過ごすひととき、自然の香りを楽しみつつ、静かに心を整えてみませんか?